- SPのビンディングは種類が多くて、どのモデルを選べばいいかわからない
- ファストエントリーと普通のストラップ式ビンディングの違いが知りたい
- 自分のレベルや滑り方に合うSPのモデルはどれ?
「SP」は1987年にドイツで創業したビンディング専業メーカーで、初心者や上級者に幅広く支持される、ファストエントリーの先駆けとなったスノーボードビンディングブランドです。高品質なアルミニウムと強化プラスチックを組み合わせた軽くて丈夫な作りと、座らずに素早く履ける装着のしやすさに定評があります。
この記事では、SPの特徴や独自テクノロジーをわかりやすく解説し、現行のスノーボードビンディングを全モデル比較します。レベルや滑り方別のおすすめモデルも紹介しますので、SPのビンディングが気になっている人はぜひチェックしてください。
SPとはファストエントリーに特化したスノーボードビンディングブランド
SPとは、1987年にドイツ・ビルゲルで創業したスノーボードビンディングのブランドで、ハイバックを倒して後ろから足を入れるファストエントリーに定評があります。現在はオーストリア・ウィーンに本社を置き、日本ではSP United – Japanが公式サイトで販売を行い、正規販売代理店はUSPが務めています。
SPのビンディングは専用ブーツを必要とせず、手持ちのスノーボードブーツのまま使える点が、専用ブーツとセットで使うステップイン系との大きな違いです。ブランドの成り立ちを知っておくと、SPのモデルが装着の手軽さを軸に作り分けられている理由がわかります。
SPのブランドコンセプト
SPが掲げるミッションは、スノーボードをもっと身近にし、より多くの人にスノーボードの魅力を伝えることです。始めたばかりの初心者やフリーライドを楽しむ上級者など、どんなレベルのライダーにもフィットするビンディングを届けるという考え方が、SPのラインナップ全体に通っています。
SPのコンセプトの中心にあるのが、雪の上に座り込んでストラップを締める手間を減らすファストエントリーです。リフトを降りてすぐに滑り出せるため、寒さの中で装着に手間取りがちな初心者にも、1日に何本も滑りたい上級者にも、スノーボードを始めるハードルと滑走前の待ち時間を下げるメリットがあります。
SPの歴史・創業背景
SPの歴史は、1987年に創業者トーマス・クレンがドイツ・ビルゲルで「Snow Pro」を設立したところから始まります。スノーボードをヨーロッパに広めることを目指した当初は、硬いブーツを固定する初期のハードビンディングを製造していました。
FASTECシステムは発表後も試行錯誤と改良が重ねられ、現在はSPの全モデルに搭載されています。ファストエントリーの開発を長く続けてきたブランドのため、装着の素早さと滑走中の安定感を両立したビンディングを選べる点が、SPを選ぶ理由のひとつです。
SPの特徴・強み
SPの強みは、ドイツのエンジニアリング技術をルーツに持つものづくりです。工具設計や金型製作、射出成形の分野で経験を積み、自動車業界向けの部品供給も行ってきた技術力が、SPのビンディングの精度を支えています。
さらにSPはベースプレートに長期保証を設け、すり減ったり壊れたりした部品に備えて多くのスペアパーツを用意しています。交換ではなく修理で長く使えるうえ、手持ちのスノーボードブーツで使える点も、SPのビンディングを選ぶメリットです。
SPの関連ブランド
SPはSP United Holding AGというグループの一員で、同じグループにはスマートフォンマウントのSP Connectや、SP Gadgetsが属しています。SP BindingsとSP Gadgets、SP Connectの製品はすべて自社工場で生産されており、グループ全体でものづくりの体制を共有しています。
SPの拠点はオーストリアやドイツ、スイス、中国、日本、アメリカに広がり、本社のあるウィーンは営業やデザイン、製品開発、マーケティングの機能が集まる中心拠点です。日本にもSP United – Japanの拠点があり、SPのビンディングは国内の公式サイトで購入でき、スペアパーツも正規販売代理店USPのオンラインストアで取り扱われています。
SPビンディングの機能とテクノロジー
SPのビンディングは、独自のエントリー機構とベースプレートの素材の組み合わせで、モデルごとの装着方法や乗り味が決まる作りです。「どのモデルがどの機能を持つか」がSPのモデル選びの分かれ目になるため、ここではSPのスノーボードビンディングに搭載されている独自テクノロジーを解説します。
SPのスノーボードビンディングに搭載されている主なテクノロジーは以下の4つです。
- FASTECシステム|後ろから足を入れるファストエントリー
- マルチ/デュアルエントリー|ファストとクラシックを切り替えられる
- sLABベースプレート/FT4ベースプレート|素材で分かれる2種類の土台
- 標準ブーツ・ボード対応の互換性|専用ブーツ不要
FASTECシステム|後ろから足を入れるファストエントリー
SPのFASTECシステムは、ハイバック(かかと側に立ち上がる背もたれ状のパーツ)を後ろに倒し、空いたすき間からブーツを差し込むファストエントリーを可能にする独自の装着機構を指します。ストラップを毎回すべて付け外ししなくても、ハイバックを起こすだけでブーツを固定できる仕組みです。
SPのFASTECシステムを使えば、リフト降り場で雪の上に座り込まずにビンディングを装着できます。冷たい雪でウェアを濡らさずに済み、ストラップの締め付けに慣れていない初心者でも仲間を待たせずに滑り出せるため、装着の手間を減らしたいライダーにおすすめの機能です。
マルチ/デュアルエントリー|ファストとクラシックを切り替えられる
SPのマルチ/デュアルエントリーは、ファストエントリーと従来のストラップ式であるクラシックエントリーのどちらでもブーツを装着できるシステムです。クラシックエントリーはラチェットを開く、ビンディングに足を入れる、ラチェットを締めるという3つの手順で完了し、一般的なストラップ式ビンディングと同じ感覚で使えます。
SPのマルチエントリー対応モデルなら、深いパウダーにはまったときや急斜面で履きにくい場面でも、クラシックエントリーに切り替えて確実に装着できます。普段はファストエントリーで素早く履き、条件が悪いときだけストラップで締めるという使い分けができるため、パウダーや非圧雪の斜面も滑る中級者以上のライダーにおすすめです。
sLABベースプレート/FT4ベースプレート|素材で分かれる2種類の土台
SPのビンディングは、ベースプレート(ブーツを乗せてボードに固定する土台部分)の素材によってsLABとFT4の2種類に分かれます。sLABベースプレートはアルミニウム製、FT4ベースプレートは強化プラスチック製で、SPのアルミニウムは航空機にも使われるランクの素材です。
SPのサイズ表はベースプレートごとに分かれており、同じMサイズでもsLABはブーツ25.0〜28.0cm、FT4は25.0〜27.5cmと対応範囲が異なります。高速域のターンやパウダーで反応の良さを求めるならsLAB、初めてのビンディングで扱いやすさを重視するならFT4を選ぶと、SPのモデル選びで迷いにくくなります。
標準ブーツ・ボード対応の互換性|専用ブーツ不要
SPのビンディングは、ステップイン系のビンディングで必要になりがちな専用ブーツを使わず、ほとんどの標準的なスノーボードブーツに対応するのが特徴です。手持ちのブーツをそのまま使えるため、ギアを買い替えずにファストエントリーへ移行できます。
SPのビンディングを選ぶ前には、ブーツのサイズが公式サイズ表のどこに入るかと、ボードの取り付け規格の2点を確認しておくと、購入後のサイズ違いや取り付けのトラブルを防げます。ブーツサイズがSPのサイズの境目で迷う場合は、上のサイズを選ぶとフィットしやすいというのが公式の案内です。
SPビンディングの全モデルの種類と違いを比較
ここではSPのスノーボードビンディングの全モデルの種類と違いを解説します。エントリー方式とベースプレート、フレックス、対応レベル、得意なスタイルの違いを比較表で整理したあと、上位モデルの「PEAK」を先頭に、キッズ用の「KIDDO」まで各モデルの詳細を順に紹介します。
表の対応レベルにあるエントリー、クルーズ、アグレッシブは、SP公式が使う初心者向け、中級者向け、上級者向けの目安です。SPの26-27シーズンは主要モデルの名称と構成がそのまま引き継がれ、新色や新しいグラフィックが中心のアップデートになっています。
| モデル名 | エントリー方式 | ベースプレート | フレックス | 対応レベル | 得意なスタイル |
|---|---|---|---|---|---|
| PEAK | ファスト+クラシック | sLAB(アルミ) | 硬め | クルーズ〜アグレッシブ | オールラウンド〜フリーラン |
| TEAM | ファスト+クラシック | sLAB(アルミ) | 中間〜やや硬め | クルーズ〜アグレッシブ | パーク〜オールラウンド |
| CORE | ファスト+クラシック | sLAB(アルミ) | 中間 | クルーズ〜アグレッシブ | パーク〜オールラウンド |
| BASE+ | ファスト+クラシック | FT4(プラスチック) | 柔らかめ | エントリー〜クルーズ | オールラウンド |
| BASE | ファスト専用 | FT4(プラスチック) | 柔らかめ | エントリー | オールラウンド |
| KIDDO | ファスト専用 | Kiddo(キッズ用) | 柔らかめ | エントリー | オールラウンド |
PEAK

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | PEAK |
| エントリー方式 | ファスト+クラシック |
| ベースプレート | sLAB(アルミ) |
| フレックス | 硬め |
| 対応レベル | クルーズ〜アグレッシブ |
「PEAK」は、深いカービングやパウダー、ツリーランを楽しむライダーのために作られた、SPのラインナップで最も硬めのフレックスを持つ上位モデルです。公式の目安では対応レベルがクルーズ〜アグレッシブ、得意なスタイルがオールラウンド〜フリーランに設定されています。
SPの公式サイトのレビューにも「だいぶ硬めです」「板と足がダイレクトに繋がっている感じです」という声があり、硬めのフレックスでブーツの動きを板へダイレクトに伝えられる作りです。
一方で柔らかいビンディングに慣れた初心者には反発が強く、パークでの遊びには向きません。SPの「PEAK」は、フリーライドやカービングを中心に硬めのビンディングで板をしっかり操りたい中級者〜上級者におすすめです。
TEAM

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | TEAM |
| エントリー方式 | ファスト+クラシック |
| ベースプレート | sLAB(アルミ) |
| フレックス | 中間〜やや硬め |
| 対応レベル | クルーズ〜アグレッシブ |
「TEAM」は、パークやストリート、ゲレンデのどこでも遊べるように作られた、SPのオールラウンドモデルです。公式の目安ではフレックスがミディアム〜やや硬め、得意なスタイルはパーク〜オールラウンドに設定されており、対応レベルはクルーズ〜アグレッシブの中級者以上を想定しています。
SPの傾斜付きインソールは着地の衝撃を吸収し、柔らかく足になじむインジェクションストラップと組み合わせることで、ジャンプの着地で足裏に伝わる衝撃をやわらげます。
フリーライド寄りでより硬い「PEAK」と比べると、パークでの着地まで考えた作りです。パークで遊びの幅を広げたいライダーにも、高速域の安定感を求めるオールマウンテン派にも、SPの「TEAM」をおすすめします。
CORE

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | CORE |
| エントリー方式 | ファスト+クラシック |
| ベースプレート | sLAB(アルミ) |
| フレックス | 中間 |
| 対応レベル | クルーズ〜アグレッシブ |
「CORE」は、自分のライディングスタイルを自由に表現しながら、正確な操作性も保ちたいライダーに向けて作られたSPのモデルです。しなやかなフレックスでパークやオールマウンテンに幅広く対応し、公式では中級〜上級ライダーに合う設計とされています。
SPの公式ブログに掲載されたライダー臼井裕二さんのインタビューでは、「CORE ME」について、カービングでは両足でしっかりエッジを抑えられ、高速域でも慌てずに乗り込んでいけると語られています。
フレックスは中間のため、高速のフリーライドで強い反応を求める上級者には「PEAK」が合います。SPの「CORE」は、カービングやラントリ(滑りながら板のノーズやテールを使って行うトリック)、地形遊びを1本の板で楽しみたいライダーにおすすめのビンディングです。
BASE+

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | BASE+ |
| エントリー方式 | ファスト+クラシック |
| ベースプレート | FT4(プラスチック) |
| フレックス | 柔らかめ |
| 対応レベル | エントリー〜クルーズ |
「BASE+」は、初心者からステップアップを目指すライダーの上達をサポートする、SPのエントリーモデルです。扱いやすい柔らかめのフレックスと軽量設計が特徴で、公式の目安では対応レベルがエントリー〜クルーズ、得意なスタイルはオールラウンドに設定されています。
SPの「BASE」との違いは、クラシックエントリーに対応している点とEVAインソールを備えている点です。上達して深雪や急斜面を滑るようになっても、ストラップで締める装着方法に切り替えられます。
柔らかめのフレックスのため、高速域のターンや硬いバーンでの踏ん張りは上位モデルに劣ります。初めてのビンディングとしてSPを選びつつ、上達後もクラシックエントリーを使い分けたい初心者〜中級者には「BASE+」がおすすめです。
BASE

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | BASE |
| エントリー方式 | ファスト専用 |
| ベースプレート | FT4(プラスチック) |
| フレックス | 柔らかめ |
| 対応レベル | エントリー |
「BASE」は、余計な機能や派手な装飾を省き、シンプルで信頼できる構造と扱いやすさを追求したSPのベーシックモデルです。公式の目安ではフレックスがソフト寄りで、対応レベルはエントリーが中心に設定されており、スノーボードを始めたばかりのライダーを想定しています。
注意点として、SPの「BASE」はファストエントリー専用で、通常のストラップ式ビンディングとしては使えません。深いパウダーにはまったときにクラシックエントリーへ切り替えられないため、圧雪されたゲレンデを中心に滑る人に向いています。
SPの「BASE」は、装着の手間をとにかく減らしたい初心者や、レンタルから自分のビンディングに切り替えたいライダーにおすすめです。座り込んでストラップを締める作業が苦手な人ほど、ファストエントリーの手軽さを実感できます。
KIDDO

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| モデル名 | KIDDO |
| エントリー方式 | ファスト専用 |
| ベースプレート | Kiddo(キッズ用) |
| フレックス | 柔らかめ |
| 対応レベル | エントリー |
「KIDDO」は、子どもの雪山デビューのために作られたSPのキッズ専用モデルで、軽くて柔らかいフレックスが特徴のスノーボードビンディングです。座ってビンディングを締める手間を減らし、子どもでも簡単に装着できるよう設計されています。
「KIDDO」も「BASE」と同じくファストエントリー専用で、通常のストラップ式ビンディングとしては使えません。スノーボードを始める子どもや、親子でSPのビンディングをそろえたい家族におすすめのモデルです。
まとめ
この記事では、ファストエントリーに特化したSPのブランド背景や、FASTECシステムをはじめとする独自テクノロジー、現行のスノーボードビンディング全モデルの違いを解説しました。SPは専用ブーツを必要とせず、手持ちのブーツのまま後ろから素早く履けるのが大きな魅力です。
初心者でクラシックエントリーも使いたいなら「BASE+」、装着の手軽さを最優先するなら「BASE」、子どもには「KIDDO」が合います。サイズはベースプレートごとに対応するブーツの長さが異なるため、公式サイズ表で確認してから選ぶことをおすすめします。この記事がSPのスノーボードビンディング選びの参考になれば嬉しいです。



コメント